先日、偶然知り合った人から教えてもらった面白い会社に関する本、早速買ってしまって読みました。(早読できる方なら10分足らずで読めます)
この本を読んだときに思ったのが「こうあるべき」と思っていた組織像が現実に実行されている、ということでした。
Contents
奇跡の組織~「最高の働き方」を導き出すセムコスタイル5つの原則~
通常の常識からは少し違う経営スタイルです。
個人的にキャッチーな点としては
- 組織階層がない
- ビジネス戦略、短期計画、長期計画がない
- 決まったCEO、COO、CIO不在のこともある
- キャリアプラン、雇用契約書がない
- 作業員を監視、監督しない
という項目でした。
常識外れで、おもしろい経営手法、いわゆる株主に利益を還元するという株式会社の概念ではありえないけど、今後スタンダードになると思ってた組織が言語化されています。(株式会社だと実行が容易ではないというだけで、ちゃんと本の中にはどのようにして、株式会社として株主の利益に貢献できるようにするか最低限のラインを守る方法も書いていました)
これができると『経営者の器が大きくならない限り組織が大きくならない、成果が上がらない』ということが起きない(別の意味で枠が大きくなる必要はあり)
人材が人財として本来の能力を発揮することができるので、よくありがちな「経営者は自分のことがわかっていない」であったり、「できないくせに指示を出すな」という組織内の反発が起きることがありません。
それにより、本来のジョブ型のロールに応じた報酬設計もできますし、それによる成果「給与」は自分で設定させるというスタイルなので、給料に納得いかないということが少ないです。納得いかないのであれば自分でどうすれば上げることができるのか、という思考になるように「仕組み」の方が仕向けることができているというのがとても納得性の高いものでした。
知っていることと、実行できることは別物、でも経営者は知るべきこと
この手法は経営者からすると怖くてたまらない(人が多い)経営手法です。
しかしこれからの時代、このような経営力が必要になってきます。
経営者が常にさらされているのが
「優秀な人材が獲得できるか」
という問題で、「人材」は
労働市場は常に自由な市場で「給与」や「労働環境」「社会的な意義」や「事業の成長」という観点で総合的に判断し(特に個人の趣向にもよるが資本主義経済において給与は最も強い力を持つ)選択します。
市場は常に変化しているので、自社が総合的に魅力的なオファーが出せない場合、「獲得」が困難なことはもちろん「平均勤続年数」があがることがないので「採用費」そして「教育にかかる人件費」というコストが大きくかかってきます。
また「教育」が必要となる場合、「教育を受けた後成果が出るまでの機会損失」というのもとても大きな影響を与えます。
例として、実際に新入社員が育つのに1年かかる企業と、2か月から利益を生み出す営業になるかで、1年後に生み出すキャッシュがゼロか、数百万円かで大きな違いになります。単年度採算しか見れない場合は1年かかるような教育システム・プロダクト・業態であると採用自体が困難となります。一方で、すぐに独立して自ら採用にかかったコストと人件費を半年で回収してくれるような組織であれば採用がバンバンできて、売上もどんどんあがります。またそれだけでなく、そのように成果があがる組織においては仕事が楽しく感じるメンバーが多いので、「リファラル採用」として、紹介によって新規人材の採用が進み、さらに
「採用費の削減」「勤続年数の増加」という嬉しい波及効果があります。
この影響は単純に足し算的に、等速直線運動的な伸びではなく、二次曲線的な伸びにつながります。
自律的な組織、ティール組織を一歩進めた未来型組織
個人的には話題になっている「ティール組織」を一歩進めた未来型の組織像と思っています。
参考:ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
いきなりすべてを導入すると組織にとっても難しい点も多いと思うので、試験的に「営業部だけで実行」「管理部の一部だけで実行」などを重ねて、自ら企業文化と合うように最適化をしていくことがいいと思います。
奇跡の組織~「最高の働き方」を導き出すセムコスタイル5つの原則~