新型コロナの影響で一気に注目された「給付金」や「助成金」。
多くの人が生活の立て直しや事業継続のために、国や自治体の支援制度を活用しようとする中で、この“善意”を逆手に取った詐欺被害が急増しています。
「代行します」「給付金が受け取れます」「手数料だけで大丈夫」――
こうした言葉に乗せられ、個人情報やマイナンバー、銀行口座を抜き取られたり、返金不能な金銭を騙し取られたりする事例が後を絶ちません。
この記事では、給付金・助成金詐欺の手口、見抜き方、正しい申請方法まで、被害を防ぐために必要な知識を徹底的に解説します。
Contents
コロナ禍で急増した給付金詐欺とは?
2020年以降、コロナ禍で多くの人が打撃を受ける中、政府は「持続化給付金」「家賃支援給付金」「月次支援金」など、数多くの支援策を打ち出しました。
それに伴い、給付金詐欺や申請詐欺が急激に増加。
警察庁によると、2021年時点ですでに数千件規模の相談が寄せられ、検挙件数も300件以上に上りました。
▼ 主な詐欺の種類
- 偽の代行業者が手数料名目でお金を請求する
- 偽サイトに誘導し、個人情報を抜き取る
- 架空名義で給付金を不正に取得させ、報酬を要求
- 行政を名乗り、電話で詐欺を仕掛ける
特に“スマホで簡単”などのキャッチコピーを使って、申請代行を装う詐欺広告がSNSで急増しています。
「代行業者」「手数料〇円」などの手口
多くの詐欺は「あなたの代わりに申請します」という形でアプローチしてきます。
▼ よくある詐欺文言
- 「あなたも最大200万円受け取れます」
- 「手数料1万円のみでサポート」
- 「申請に不安がある方、丸ごとお任せください」
- 「通帳・免許証の写真を送るだけでOK」
こうした言葉とともに、LINE登録や専用フォームへの入力を促されます。
▼ 手口の流れ
- SNS広告やメール、SMSなどから誘導
- LINEや個人ページでやり取り開始
- 申請には「本人確認書類」「マイナンバー」「口座情報」が必要と言われる
- 手数料・成功報酬として振込を求められる
- 実際には何の申請もされず、連絡が取れなくなる
「手続きを全部任せて安心」は詐欺師が最も使いやすい言葉だと心得ましょう。
本物の行政と偽業者の見分け方
偽の業者は、あたかも公的機関のような名前・ロゴ・デザインを使ってきます。
しかし、細かくチェックすれば必ず“違和感”は見つかります。
▼ 見分けるチェックポイント
チェック項目 | 偽業者の特徴 |
---|---|
WebサイトのURL | gov.jp 以外のドメイン(.xyz、.infoなど) |
メールアドレス | GmailやYahooメールを使用している |
会社概要ページ | 不明確、または記載なし |
電話番号 | 携帯番号やIP電話が記載されていることが多い |
表記の日本語 | 機械翻訳のような不自然な表現 |
また、本物の行政機関がLINE登録やDMで手続きを勧誘してくることは絶対にありません。
個人情報を抜かれる危険性とは?
給付金詐欺の最大の怖さは、金銭被害だけではありません。
個人情報を悪用され、さらに二次被害が広がる危険性があるのです。
▼ 抜き取られる情報と悪用例
抜かれる情報 | 悪用リスク |
---|---|
氏名・住所・電話番号 | 架空契約、サブスク登録、なりすまし |
銀行口座番号 | 不正送金、預金の引き出し |
マイナンバー | 給付金不正請求、脱税行為のダミー使用 |
運転免許証の画像 | スマホ契約・クレカ発行などの不正申し込み |
個人情報は一度盗まれると、闇市場で転売され、詐欺グループ間で共有されることもあります。
口座番号やマイナンバーの取り扱いに注意
申請手続きには確かに銀行口座やマイナンバーの提出が必要な場面もあります。
しかし、それを渡す相手は**必ず「信頼できる行政機関」か「委託を受けた士業(税理士・社労士など)」**であるべきです。
▼ 絶対に気を付けたいこと
- 見知らぬサイトにマイナンバーや通帳画像を送らない
- 電話やLINEで口座番号を教えない
- 「代理申請」をするときは、行政書士か社労士かを確認し、登録番号を調べる
- 「マイナンバー不要で申請代行OK」という業者は100%詐欺です
個人情報を求めてくる相手には、“なぜそれが必要なのか”を問いただす癖をつけましょう。
怪しい業者に依頼してしまった場合の対処法
万が一、詐欺業者に情報やお金を渡してしまった場合は、一刻も早く行動に移すことがカギです。
▼ 被害後の対処ステップ
- 詐欺と気づいた時点で、取引履歴ややり取りを全て保存
- 消費生活センター(188)に相談する
- 最寄りの警察署で「詐欺被害届」を提出する
- 振り込み先の銀行へ連絡し、口座凍結を依頼する
- クレジットカードやスマホ契約の不正使用も確認する
詐欺グループは「使い捨て口座」や「名義借りの携帯」を使っていることが多いため、対応が遅れると証拠が消されてしまうリスクがあるのです。
安全に助成金を申請する正しい手順
本当に給付金や助成金を申請したい場合は、必ず以下のような公的手続きを行いましょう。
▼ 安心・安全な申請方法
手続き方法 | 説明 |
---|---|
公式サイトからの申請 | 各省庁の公式ページ(.go.jp)が確実 |
行政窓口に直接相談 | 市区町村の役所・出張所での相談が基本 |
商工会議所・社労士事務所 | 難しい場合は登録士業への相談も有効 |
また、「全国中小企業団体中央会」や「厚生労働省」「中小企業庁」などが発行する正規の手引書も活用できます。
まとめ:甘い話の裏にあるのは“カネと情報の奪取”だけ
「無料でお金がもらえる」「何もせずに申請できる」
こうした言葉に魅力を感じる心理は理解できます。しかし、制度の“正しさ”と“複雑さ”を逆手にとる詐欺に、私たちは常に警戒しなければなりません。
✅ 詐欺を見抜く3つの鉄則
- LINEやDMで誘われる申請はすべて疑う
- 個人情報を求める相手の身元を必ず確認する
- 公的機関からの発信以外は、自分で裏を取る癖をつける
誰でも給付金詐欺の被害者になり得ます。
それを防ぐのは、「正しく申請する力」と「疑う知識」です。