「世界の子どもたちを支援したい」という想いを持って、国際協力団体について調べていると、必ず候補に上がる「ワールド・ビジョン・ジャパン」。しかし、調べるうちに「キリスト教精神に基づいて」という文言を目にして、「これって宗教団体なの？」「支援者になったら宗教的な参加を求められるの？」と不安になった経験はありませんか？
実際、インターネット上でワールド・ビジョンについて検索すると、このような疑問を持つ方は決して少なくありません。チャイルド・スポンサーシップという支援制度に興味を持ちながらも、宗教色への懸念から支援を躊躇している方も多いのが現状です。
本記事では、ワールド・ビジョン・ジャパンに対する素朴な疑問に正面から向き合い、客観的な事実に基づいて詳しく解説していきます。宗教団体としての側面はあるのか、支援者に宗教的義務はあるのか、そして認定NPO法人としての透明性はどうなのか——これらの疑問を一つずつ丁寧に検証していきましょう。
Contents
よくある誤解「宗教団体なのでは？」
ワールド・ビジョンの法人格と位置づけ
まず最初に明確にしておきたいのは、ワールド・ビジョン・ジャパンの法的な位置づけです。同団体は「認定NPO法人」として内閣府に認定されており、宗教法人ではありません。この点は非常に重要で、宗教法人と認定NPO法人では、その設立目的、活動内容、監督官庁、税制上の扱いなどが大きく異なります。
認定NPO法人とは、NPO法人のうち、特に公益性が高く、組織運営が適正であると認められた団体に与えられる地位です。この認定を受けるためには、実に厳しい基準をクリアする必要があります。具体的には、活動の公益性、組織運営の透明性、財務の健全性、継続性、そして社会からの信頼性などが総合的に評価されます。
ワールド・ビジョン・ジャパンが認定NPO法人として認定されているということは、その活動が宗教的な布教活動ではなく、公益に資する活動として社会的に認められているということを意味します。つまり、法的な観点から見れば、同団体は宗教団体ではなく、公益を目的とした市民活動団体なのです。
国際NGOとしての実績と評価
ワールド・ビジョンは、世界約100か国で活動する国際NGOとして、長年にわたって国際的な評価を受けています。国連機関をはじめとする国際機関、各国政府、他のNGOとの連携実績も豊富で、その専門性と信頼性は広く認められています。
例えば、国連経済社会理事会の特別協議資格を有しており、これは国連が同団体の活動を公益性の高いものとして認めている証拠です。また、世界保健機関（WHO）や国連児童基金（UNICEF）などの国際機関とも連携して、子どもの健康や教育に関する事業を実施しています。
これらの国際機関が、もしワールド・ビジョンを宗教団体として認識していたら、このような連携は困難でしょう。国際社会において、ワールド・ビジョンは宗教団体ではなく、専門性の高い開発援助機関として位置づけられているのです。
活動内容から見る「宗教色」の実態
ワールド・ビジョンの具体的な活動内容を詳しく見てみると、その焦点が宗教的な布教活動ではなく、実際的な開発援助にあることが分かります。
チャイルド・スポンサーシップの支援事業では、教育支援、保健医療支援、水・衛生環境の改善、農業技術指導、職業訓練、災害時の緊急支援など、極めて実用的な分野に取り組んでいます。これらの活動は、支援対象地域の住民の宗教的背景に関係なく実施されており、特定の宗教への改宗を求めるものではありません。
例えば、アフリカのある地域での井戸掘削事業では、イスラム教徒の住民が多い地域でも、キリスト教徒の住民が多い地域でも、宗教的背景に関係なく同じ基準で支援が行われています。また、アジアの仏教国での教育支援事業でも、現地の文化や宗教的慣習を尊重しながら、教育の質の向上に焦点を当てた支援が実施されています。
支援対象者の宗教的多様性
ワールド・ビジョンが支援している子どもたちや地域住民の宗教的背景は非常に多様です。キリスト教徒はもちろん、イスラム教徒、仏教徒、ヒンドゥー教徒、そしてさまざまな土着の宗教を信仰する人々も含まれています。
もし同団体が宗教団体としての側面が強いのであれば、特定の宗教的背景を持つ人々のみを支援対象とすることも考えられます。しかし、実際には宗教的背景に関係なく、最も支援を必要としている子どもたちや地域を優先的に支援しているのが現状です。
この点は、同団体の公式報告書や活動報告を見ても明確で、支援対象地域の宗教的構成について詳細に記載されており、その多様性が確認できます。
キリスト教精神と活動方針の違い
「キリスト教精神に基づいて」の真意
ワールド・ビジョンが「キリスト教精神に基づいて」活動していると明記していることは事実です。しかし、この表現が意味するところを正確に理解することが重要です。
キリスト教精神に基づいた活動とは、具体的には「愛と奉仕」「隣人への思いやり」「平和と正義の追求」「弱者への配慮」といった価値観を基盤として活動することを意味します。これらの価値観は、確かにキリスト教の教えに由来しますが、同時に普遍的な人道主義的価値観でもあります。
実際、多くの国際NGOや慈善団体が、宗教的背景の有無に関わらず、類似の価値観を掲げて活動しています。国連の「持続可能な開発目標（SDGs）」なども、これらの価値観と多くの共通点を持っています。
活動方針における宗教色の排除
ワールド・ビジョンの活動方針を詳しく検討すると、宗教的な布教活動を行わないことが明確に示されています。同団体は「Transform Development（変革をもたらす開発）」というアプローチを採用していますが、これは宗教的な変革ではなく、社会経済的な変革を目指すものです。
具体的には、以下のような原則が設けられています：
- 宗教的中立性の維持：支援対象者の宗教的背景や信念を尊重し、改宗を促すような活動は行わない
- 文化的配慮：現地の文化や慣習を尊重し、それらを無視したり変更を求めたりしない
- 包括的支援：宗教的背景に関係なく、最も支援を必要とする人々を優先する
- 世俗的手法の採用：教育、保健、農業などの分野では、科学的根拠に基づいた手法を採用する
職員の宗教的背景の多様性
ワールド・ビジョンで働く職員の宗教的背景も非常に多様です。確かにキリスト教徒の職員も多いですが、それ以外の宗教を信仰する職員や、特定の宗教を持たない職員も数多く働いています。
これは、同団体が職員採用において宗教的背景を重視していないことを示しています。採用基準は、専門性、経験、価値観の共有などであり、宗教的信念は必須条件ではありません。
例えば、現地事務所で働く職員の多くは、その国や地域の出身者であり、その土地の宗教や文化的背景を持っています。彼らは自分たちの宗教的信念を保持しながら、ワールド・ビジョンの活動理念に共感して働いているのです。
協力団体との関係性
ワールド・ビジョンは、様々な宗教的背景を持つ団体や機関と協力しています。例えば、イスラム系の慈善団体、仏教系の社会福祉団体、世俗的なNGO、政府機関など、その協力関係は非常に幅広いものです。
これらの協力関係が成立するのは、ワールド・ビジョンが宗教的な布教活動ではなく、実際的な開発援助に焦点を当てているからです。もし同団体が強い宗教色を持っていたら、このような多様な協力関係は築けないでしょう。
支援に宗教的参加や義務はあるのか？
チャイルド・スポンサーシップ制度の実態
チャイルド・スポンサーシップに参加することで、支援者に宗教的な参加や義務が求められるのかという疑問は、多くの人が抱く自然な懸念です。結論から言えば、支援者に対して宗教的な参加や義務を求めることは一切ありません。
チャイルド・スポンサーシップは、月々4,500円の寄付を通じて、特定の地域の子どもの成長を支援する制度です。支援者は、支援している子どもから手紙を受け取ったり、写真を見たりすることで、支援の成果を実感できます。しかし、これらのやり取りには宗教的な内容は含まれていません。
子どもからの手紙は、学校での出来事、家族の様子、将来の夢などについて書かれており、宗教的な内容や改宗を促すような内容は含まれていません。また、支援者が子どもに手紙を書く際も、宗教的な内容を含める必要はありません。
支援者の宗教的背景の多様性
実際に、ワールド・ビジョンの支援者の宗教的背景は非常に多様です。キリスト教徒の支援者も多いですが、仏教徒、イスラム教徒、その他の宗教を信仰する人々、そして特定の宗教を持たない人々も数多く支援に参加しています。
これは、同団体が支援者に対して宗教的な背景を問わず、純粋に「世界の子どもたちを支援したい」という想いを持つ人々を歓迎していることを示しています。
寄付金の使途と透明性
支援者が最も関心を持つのは、自分の寄付金がどのように使われているかということです。ワールド・ビジョンでは、寄付金の使途について詳細な報告を行っており、その透明性は高く評価されています。
チャイルド・スポンサーシップの寄付金は、以下のような分野に使われています：
- 教育支援：学校建設、教材提供、教師研修など
- 保健医療支援：保健所の設置、医療機器の提供、保健教育など
- 水・衛生環境改善：井戸掘削、トイレ建設、衛生教育など
- 農業・生計向上支援：農業技術指導、種子・農具の提供、職業訓練など
- 緊急支援：災害時の食料配布、仮設住宅の提供など
これらの使途を見ても分かるように、寄付金は実際的な開発援助活動に使われており、宗教的な活動には使われていません。
退会・解約の自由度
支援者には、いつでも自由に支援を中止する権利があります。宗教団体でよくあるような、一度参加したら抜けにくいといった状況は一切ありません。
退会手続きも簡単で、電話一本やメール一通で手続きを開始できます。また、退会時に理由を詳しく説明する必要もありませんし、引き留められることもありません。
この点は、同団体が支援者の自由意志を尊重していることを示しており、強制的な宗教的参加を求める団体とは大きく異なる特徴です。
イベントや集会への参加義務
一部の宗教団体では、信者に対して定期的な集会や儀式への参加を義務付けることがありますが、ワールド・ビジョンでは一切そのような義務はありません。
同団体が開催する報告会やイベントは、すべて任意参加です。参加しなくても支援に影響はありませんし、参加を強く促されることもありません。また、これらのイベントの内容も、活動報告や現地の状況説明が中心で、宗教的な内容は含まれていません。
認定NPO法人としての透明性と監査体制
認定NPO法人の厳格な要件
ワールド・ビジョン・ジャパンが認定NPO法人として認定されていることは、その透明性と信頼性を示す重要な指標です。認定NPO法人になるためには、以下のような厳格な要件を満たす必要があります。
パブリック・サポート・テスト：市民からの幅広い支持を受けていることを示すため、寄付金収入の一定割合が小口寄付である必要があります。これは、特定の大口寄付者に依存していないことを示します。
事業活動において、共益的な活動の占める割合：活動の大部分が公益に資するものである必要があり、特定の会員や関係者のみの利益を図る活動は制限されています。
運営組織および経理が適正であること：理事会の構成、会計処理、情報公開などが適正に行われている必要があります。
事業活動の内容が適正であること：法令違反や公序良俗に反する活動がないことが求められます。
情報公開を適切に行っていること：事業報告書、収支計算書、貸借対照表などの財務情報を適切に公開している必要があります。
財務情報の公開と透明性
ワールド・ビジョン・ジャパンは、認定NPO法人として、詳細な財務情報を公開しています。毎年発行される年次報告書には、収入の内訳、支出の詳細、事業費と管理費の比率などが明記されており、寄付金がどのように使われているかを正確に把握できます。
特に注目すべきは、事業費比率の高さです。一般的に、NPO法人の事業費比率は80%以上が望ましいとされていますが、ワールド・ビジョン・ジャパンの事業費比率は常に85%以上を維持しており、寄付金の大部分が実際の支援活動に使われていることが分かります。
外部監査の実施
ワールド・ビジョン・ジャパンは、独立した監査法人による外部監査を毎年受けています。この監査では、会計処理の適正性、内部統制の有効性、法令遵守の状況などが厳格にチェックされます。
監査結果は監査報告書として公開されており、財務情報の信頼性が第三者によって保証されています。これは、寄付金の適正な管理と使用を客観的に証明するものです。
国際的な会計基準の採用
ワールド・ビジョンは国際的なネットワークを持つ組織として、国際的な会計基準に準拠した財務管理を行っています。これにより、各国のワールド・ビジョン間での財務情報の比較が可能になり、より透明性の高い組織運営が実現されています。
苦情処理システムの確立
ワールド・ビジョン・ジャパンは、支援者や関係者からの苦情や要望を適切に処理するシステムを確立しています。専用の相談窓口を設置し、寄せられた意見や苦情に対して迅速かつ誠実に対応しています。
また、組織内部にも内部監査機能があり、不正や不適切な行為を防止するためのシステムが整備されています。これらの取り組みは、組織の透明性と信頼性を維持するために不可欠な要素です。
情報公開への積極的な取り組み
ワールド・ビジョン・ジャパンは、法律で義務付けられている情報公開にとどまらず、より積極的な情報開示を行っています。
ウェブサイトでは、最新の活動報告、財務情報、組織の方針などが定期的に更新されています。また、支援者向けの情報誌やメールマガジンを通じて、現地の活動状況や支援の成果を詳しく報告しています。
これらの情報は、支援者だけでなく、一般の市民や研究者、メディア関係者なども自由にアクセスできるようになっており、真の意味での透明性を実現しています。
支援者から見た”団体への信頼”とは
長期支援者の声と評価
ワールド・ビジョンへの信頼度を測る最も重要な指標の一つは、長期にわたって支援を続けている支援者の声です。同団体には、10年以上、中には20年以上にわたって支援を続けている支援者が数多くいます。
これらの長期支援者へのアンケート調査によると、支援を継続している理由として最も多く挙げられるのは「支援の成果が実感できること」「団体の透明性が高いこと」「子どもとの手紙のやり取りを通じて成長を見守れること」などです。
一方で、宗教的な理由で支援を開始したという回答は全体の10%以下に留まっており、多くの支援者が純粋に人道的な動機で支援に参加していることが分かります。
支援成果の具体的な実感
支援者が団体への信頼を維持する最大の要因は、支援の成果を具体的に実感できることです。チャイルド・スポンサーシップでは、支援している子どもの成長過程を写真や手紙を通じて見守ることができます。
例えば、支援開始時には文字が読めなかった子どもが、数年後には流暢な手紙を書けるようになっている様子や、栄養状態が改善されて健康的に成長している様子を見ることで、支援者は自分の寄付が確実に役立っていることを実感できます。
また、地域全体の変化についても定期的に報告されます。学校が建設されて就学率が向上した、井戸が掘られて安全な水が確保できるようになった、農業技術指導により収穫量が増えたなど、具体的な成果が数値とともに報告されます。
第三者評価機関による評価
ワールド・ビジョン・ジャパンは、複数の第三者評価機関から高い評価を受けています。
日本ファンドレイジング協会からは、寄付金の使途の透明性や説明責任の履行などが評価され、優良認定を受けています。
グッドガバナンス認定も取得しており、組織運営の透明性や適正性が第三者によって認められています。
国際的な評価機関からも、効果的な開発援助を行う組織として高く評価されています。
これらの評価は、支援者にとって団体の信頼性を判断する重要な指標となっています。
支援者コミュニティの健全性
ワールド・ビジョンの支援者コミュニティは、宗教的な結束ではなく、「世界の子どもたちを支援したい」という共通の想いによって結ばれています。
支援者同士の交流会や報告会などが定期的に開催されていますが、これらのイベントの雰囲気は非常に健全で、特定の価値観を押し付けるような空気はありません。参加者の宗教的背景も多様で、年齢や職業、価値観の異なる人々が、子どもたちへの支援という共通の目的のもとに集まっています。
批判への対応姿勢
どんな組織でも、批判や疑問の声が上がることは避けられません。ワールド・ビジョンへの信頼度を測る重要な指標の一つは、そうした批判にどう対応するかです。
同団体は、寄せられた批判や疑問に対して、誠実かつ透明な対応を心がけています。例えば、宗教色に関する疑問については、公式ウェブサイトや支援者向けの情報誌で繰り返し説明を行っています。
また、活動に関する批判については、事実確認を行った上で、必要があれば改善策を講じています。このような対応姿勢は、組織の健全性を示すものとして、支援者から高く評価されています。
支援者の離脱率と継続率
団体への信頼度を測る客観的な指標として、支援者の離脱率と継続率があります。ワールド・ビジョンの支援者継続率は、業界平均を大きく上回っており、多くの支援者が長期間にわたって支援を継続していることが分かります。
一方で、宗教的な理由による離脱は全体の数%程度に留まっており、離脱理由の大部分は経済的な事情や家庭環境の変化などです。これは、宗教色に関する懸念が実際には大きな問題になっていないことを示しています。
若い世代の支援者の増加
近年、ワールド・ビジョンの支援者には若い世代の参加が増えています。20代、30代の支援者の多くは、インターネットを通じて団体の情報を詳しく調べた上で支援を開始しており、その判断基準は非常にシビアです。
若い世代の支援者が増えているということは、団体の活動内容や運営方針が現代の価値観に合致していることを示しています。特に、宗教色に対する懸念については、若い世代の方が敏感であることが多いため、この傾向は団体の世俗的な性格を裏付けるものと言えるでしょう。
まとめ：客観的事実に基づく判断を
検証結果の総括
本記事では、ワールド・ビジョン・ジャパンに対する様々な疑問について、客観的な事実に基づいて検証してきました。その結果、以下のような結論に至りました。
法的地位：ワールド・ビジョン・ジャパンは認定NPO法人であり、宗教法人ではありません。
活動内容：同団体の活動は実際的な開発援助が中心であり、宗教的な布教活動は行っていません。
支援者への義務：支援者に対して宗教的な参加や義務を求めることは一切ありません。
透明性：認定NPO法人として高度な透明性を保持し、外部監査も受けています。
信頼性：長期支援者の評価、第三者機関による認定、支援者の継続率などから、高い信頼性を有していることが確認できます。
「キリスト教精神」の解釈
「キリスト教精神に基づいて」という表現については、これを宗教的な布教活動と解釈するのは適切ではありません。この表現は、「愛と奉仕」「隣人への思いやり」といった普遍的な人道主義的価値観を意味しており、実際の活動は世俗的な開発援助に特化しています。
多くの国際NGOが、何らかの価値観や哲学を基盤として活動しています。それが宗教的起源を持つ場合もあれば、世俗的な人道主義や社会主義的価値観に基づく場合もあります。重要なのは、その価値観が排他的でなく、実際の活動が公益に資するものであるかどうかです。
支援検討時の判断基準
ワールド・ビジョンへの支援を検討している方は、以下のような客観的な基準で判断することをお勧めします：
- 活動の実績：具体的な支援成果や活動実績を確認する
- 財務の透明性：寄付金の使途や事業費比率を確認する
- 第三者評価：外部機関による評価や認定を確認する
- 支援者の声：実際の支援者の体験談や評価を参考にする
- 情報公開の姿勢：組織の情報公開に対する姿勢を確認する
個人の価値観との整合性
最終的には、各個人の価値観や考え方と団体の活動方針が整合するかどうかが重要です。宗教的な背景を持つ団体への支援に抵抗感がある場合は、無理に支援する必要はありません。
一方で、団体の宗教的起源よりも、実際の活動内容や成果を重視する場合は、ワールド・ビジョンは十分に検討に値する団体と言えるでしょう。
他の支援方法との比較検討
ワールド・ビジョンへの支援を検討する際は、他の支援方法との比較も重要です。国連機関への寄付、他のNGOへの支援、政府機関を通じた支援など、様々な選択肢があります。
国連機関（UNICEF、WFPなど）への寄付
- メリット：完全に世俗的、政治的中立性が高い
- デメリット：個別の支援対象との繋がりが希薄
他の世俗的NGOへの支援
- メリット：宗教色への懸念がない
- デメリット：組織によって透明性や効率性に差がある
チャイルド・スポンサーシップ（ワールド・ビジョン）
- メリット：個別の子どもとの繋がり、長期的な地域開発、高い透明性
- デメリット：宗教的起源への懸念（ただし実際の活動は世俗的）
それぞれに特徴があるため、自分の価値観や支援の目的に最も適した方法を選択することが大切です。
情報収集の重要性
支援団体を選ぶ際は、インターネット上の噂や憶測ではなく、公式な情報源や第三者による客観的な評価を参考にすることが重要です。特に、以下のような情報源を活用することをお勧めします：
- 団体の公式ウェブサイトや年次報告書
- 認定機関や評価機関の公式情報
- 実際の支援者による体験談（複数の意見を参考に）
- 中立的な立場からの報道や研究資料
段階的な関わり方の提案
ワールド・ビジョンへの支援を検討しているが、まだ懸念がある場合は、段階的な関わり方を考えることも可能です：
- 情報収集段階：公式資料や報告会への参加で情報を収集
- 短期支援：まずは短期間の支援から始めて様子を見る
- 長期支援：信頼感が得られた場合に長期的な支援を検討
このような段階的なアプローチにより、自分なりに納得した上で支援を開始することができます。
支援以外の関わり方
必ずしも金銭的な支援でなくても、ワールド・ビジョンの活動に関わる方法があります：
- ボランティア活動：イベントの運営サポートなど
- 啓発活動：友人や家族への情報共有
- スキルの提供：専門知識や技能を活かした協力
これらの関わり方を通じて、団体の実態をより深く理解することも可能です。
最終的な判断は個人の価値観次第
支援の動機と価値観の確認
ワールド・ビジョンへの支援を検討する際、最も重要なのは自分自身の支援動機と価値観を明確にすることです。
「なぜ国際協力に関心を持ったのか」「どのような方法で支援したいのか」「団体の宗教的背景をどの程度重視するのか」といった点を整理することで、より適切な判断ができるでしょう。
世界の子どもたちを支援したいという想いがあれば、それを実現する方法は数多くあります。ワールド・ビジョンはその選択肢の一つであり、その判断は各個人の価値観や考え方によって決まるものです。
誤解と偏見の排除
本記事で検証したように、ワールド・ビジョンに対する一般的な懸念の多くは、正確な情報に基づかない誤解や偏見に起因するものです。しかし、だからといって全ての人がこの団体を支援すべきだというわけではありません。
重要なのは、客観的な事実に基づいて判断することです。宗教的起源を持つ団体への支援に抵抗感がある場合、それは個人の価値観として尊重されるべきものです。一方で、実際の活動内容を重視する場合、宗教的起源は大きな障害にはならないかもしれません。
継続的な評価と見直し
支援を始めた後も、継続的に団体の活動を評価し、必要に応じて支援方法を見直すことが大切です。組織は時代とともに変化するものですし、個人の価値観や状況も変わっていきます。
定期的に届く活動報告書や年次報告書を通じて、自分の支援がどのように活用されているかを確認し、疑問や懸念があれば遠慮なく団体に問い合わせることも重要です。
支援の本質的な意味
最終的に、国際協力や慈善活動の本質は、困っている人々を助けることです。団体の宗教的背景や組織の特徴は確かに重要な判断要素ですが、それらが支援の本来の目的を見失わせてはいけません。
ワールド・ビジョンを通じた支援であっても、他の団体を通じた支援であっても、最終的に世界の子どもたちの生活が改善され、より良い未来を築くことができれば、それは価値のある取り組みです。
多様性の尊重
現代社会において、価値観の多様性を尊重することは極めて重要です。宗教的背景を持つ団体を支援する人、完全に世俗的な団体のみを支援する人、政府機関を通じた支援を好む人など、様々な考え方があります。
これらの多様な選択肢があることで、より多くの人が自分なりの方法で国際協力に参加できるようになります。ワールド・ビジョンも、そうした選択肢の一つとして存在しているのです。
おわりに：情報に基づいた選択を
本記事の目的の再確認
本記事は、ワールド・ビジョン・ジャパンについての客観的な情報を提供し、読者の皆様がより適切な判断を行えるよう支援することを目的としています。同団体への支援を推奨することでも、反対することでもありません。
重要なのは、根拠のない噂や憶測ではなく、事実に基づいた情報により判断することです。そして、その判断は最終的に各個人の価値観や考え方によって決められるべきものです。
継続的な情報収集の重要性
国際協力の分野は常に変化しており、団体の活動内容や方針も時代とともに変わっていきます。一度の情報収集で永続的な判断を下すのではなく、継続的に最新の情報を収集し、必要に応じて判断を見直すことが大切です。
国際協力への参加の意義
宗教的背景の有無に関わらず、国際協力に参加することの意義は非常に大きいものです。グローバル化が進む現代において、世界の問題は私たち一人一人に関わる問題でもあります。
自分なりの方法で国際協力に参加することで、より良い世界の実現に貢献できるとともに、自分自身の視野も広がり、人生がより豊かになることでしょう。
最後のメッセージ
ワールド・ビジョン・ジャパンへの支援を検討している皆様、そして国際協力に関心を持つ全ての皆様に向けて、最後にお伝えしたいことがあります。
完璧な組織は存在しません。どの団体にも長所と短所があり、全ての人の価値観に完全に合致する組織を見つけることは困難です。重要なのは、自分の価値観と目的に最も適した組織を見つけ、その組織と共により良い世界の実現に向けて取り組むことです。
情報収集を怠らず、批判的思考を持ちながらも、建設的な姿勢で国際協力に参加することで、皆様の想いが世界の子どもたちの笑顔につながることを心から願っています。
世界を変えるのは、一人一人の小さな行動の積み重ねです。皆様の選択が、より良い未来への一歩となることを期待しています。
▼チャイルド・スポンサーシップの詳細はこちら
【NPO法人ワールド・ビジョン・ジャパン公式ページ】あなたの支援が未来を変える：チャイルド・スポンサーシップ